肝障害の原因が細菌や寄生虫
肝炎ウイルスが原因の肝炎だけでなく、細菌や寄生虫、アメーバなどの原虫といった、さまざまな病
原体の感染によって肝障害が発生することがあります。
結核菌は肺をはじめ腎臓や副腎、腸などさまざまな臓器に感染しますが、肝臓に感染して肝機能障害を起こすことがあります。
そのほかマラリアや梅毒、ワイル病(黄疸出血性レプトスピラ病)など、原虫やスピロヘータの感染による病気や、日本住血吸虫症、肝吸虫など寄生虫の感染によっても肝機能障害が発生します。
肝包虫(エキノコックス)という寄生虫は肝臓に入り込み、肝嚢胞(袋状になり分泌液がたまる)という病巣をつくることがあります。
肝膿瘍は、肝臓にうみがたまり、発熱や悪寒、腹痛などの症状がみられ、肝臓が腫れ上がる病気で、細菌の感染が原因による化膿性(細菌性)肝膿瘍と、赤痢アメーバが原因のアメーバ性肝膿瘍があります。
化膿性肝膿瘍の多くは、結石や腫瘍などで胆管が閉塞して胆汁がうっ滞したところに腸内細菌が感染して胆管炎を起こし、それが肝内に及んでうみがたまるものです。
抗生物質の投与で治療しますが、化膿性肝膿瘍が大きな場合は、肝臓に経皮的に細いチューブを刺してうみを出す(膿瘍穿刺ドレナージ)を行うことがあります。
アメーバ性肝膿瘍は、腸に感染したアメーバが門脈を経て肝臓に達し、膿瘍を形成するもので、赤痢アメーバが生育する東南アジアへの渡航者が感染しますが、近年男性同性愛者での感染も報告されています。
アメーバ性肝膿瘍の治療は、抗原虫薬のメトロニダゾールを経口投与し、化膿性肝膿瘍と同様に膿瘍が大きな場合には、膿瘍穿刺ドレナージを行います。
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