B型肝炎の症状

B型肝炎の症状

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B型肝炎の症状

B型肝炎ウイルスは血液や体液を介して感染し、感染の仕方は二通りあります。

ひとつは垂直感染と呼ばれるもので、母親の胎内、あるいは出産時の産道出血によってB型肝炎ウイルスに感染するものです。

母子感染を含めた3歳以下の免疫力が未発達の時期の感染では、肝炎を起こすことはなく、ほとんどが無症候性キャリア(ウイルスに感染をしているが症状が出ない状態)になります。

このうち約90%の人は成人になって肝炎を起こし(肝炎期)、その後肝炎沈静期へと移行して、無症候性キャリアとして一生を送ります。

しかし約10%の人は成人になってB型慢性肝炎を発症し、肝硬変、肝がんへ移行する可能性があります。

またB型肝炎では、線維化の進んでいない状態でも肝がんが発生することがあります。

現在では、国のB型肝炎母子感染防止対策によって、出産時の母子感染が抑えられ、現在20歳以下の人には、B型肝炎ウイルスキャリアの人はほとんどいません。

また、B型肝炎ウイルスキャリアの血液が感染源となって、成人になってからB型肝炎ウイルスに感染することがあり、これを水平感染といいます。

過去には輸血によってB型肝炎ウイルスに感染することが多かったのですが、現在では輸血で感染することはほぼありません。

現在、成人後のB型肝炎ウイルスは、性行為によって感染するのが大多数です。

B型肝炎ウイルスは血液中のウイルス量がきわめて多く、精液や膣分泌液の中などにも存在します。

成人になって感染した場合、ほとんどが急性肝炎を起こし、感染後2〜6カ月の潜伏期間があり、その後発熱や倦怠感、黄痘など肝炎を示す症状が現れますが、多くはキャリアにはならず、ウイルスの存在を示すHBs抗原は陰性になります。

しかし、一部の人では劇症肝炎に移行することもあります。

現在、B型肝炎ウイルスは、ウイルスの遺伝子の違いから、A、B、C、D、E、F、G、Hの8つのタイプ(ジュノタイプ)があることがわかっています。

従来日本ではタイプBとタイプCの感染者がほとんどでした。

このウイルスのタイプの違いによって、病気の進行の様子も違います。



タイプBでは肝硬変や肝がんに移行する人はごく少なく、もしなったとしてもキャリアでいる期間が長かった高齢者においてで、多くの人は一生無症候性キャリアとして過ごすことができます。

一方、タイプCでは、30〜50代といった壮年期で肝硬変や肝がんになる例が多く見られます。

このためB型肝炎ウイルスのキャリアとわかったら、ウイルスのジュノタイプを調べることが大切です。

近年、従来日本に多かったタイプB、Cに加えて、ヨーロッパやアメリカで感染が多い欧米型と呼ばれるタイプAのウイルス感染がふえてきています。

タイプAのB型肝炎ウイルスの特徴として、感染したウイルスが体内から排除されず、成人で感染してもキャリアになったり、慢性肝炎になることが多い(20〜30%という報告もある)ということがあげられます。

また、感染して急性肝炎を発症すると、きわめて経過が長くなり、劇症肝炎に移行することもあります。

体内にウイルスが残る期間が長いため、その間に性交渉などによって他者に感染させることも多くなります。

母子感染の予防や治療方法の開発などで、日本では従来型のタイプB、タイプCのウイルスによるB型肝炎については、ほとんど克服できたと思われていましたが、タイプAのウイルスによるB型肝炎の増加は、新たな課題であるといえます。

B型肝炎ウイルスに感染して急性肝炎を発症し、その後ウイルスの存在を示すHBs抗原が陰性となりウイルスが体内から排除できたと思われていた人でも、ごく微量のウイルスが肝臓の中に残っているということが、最近になってわかってきました。

ほとんどの人は一生問題になることはないのですが、白血病や悪性リンパ腫の治療で強い抗がん剤治療をすると、体の免疫力が抑えられて、潜んでいたB型肝炎ウイルスが再活性化し、肝機能が悪くなることがあるのです。

対処が遅れると重症の肝機能障害や劇症肝炎を起こすこともあります。

最近リウマチの治療として注目されている生物製剤を使った治療でも強く免疫が抑制されるため、過去にB型肝炎ウイルスに感染したことがあるとウイルスが再活性化する場合があります。

白血病や悪性リンパ腫、リウマチなどの治療で強く免疫が抑制されるような治療を行う場合には、B型肝炎の感染のリスクをきちんと検査したうえで治療を行います。

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